認知症になって、自身の財産管理が困難になった時に備えてできることとして「家族信託」があります。
認知症になると金融機関から「判断能力を失っている」とみなされて、
・窓口での入出金ができなくなったり、
・自宅や所有不動産の売却などができなくなったりします。
いったんそのような状態になると、家族が必要な預貯金を出し入れすることもできなくなり、
家族などが家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」を決めてもらい、
本人に代わって「成年後見人」により財産管理をしてもらうことになります。
ただ、「成年後見人」は家庭裁判所が選定しますが、多くが弁護士や司法書士などに決定され、
家族が希望しても家族がなることができないことがほとんどです。
その場合、本人の財産の保護が目的になるため、相続する家族が払う相続税の軽減を目的に、生前贈与を行ったり、所有する土地に賃貸物件を建てるなどの運用をすることができません。
そのため、将来、認知症になった時に備えて、判断力があるうちに、事前に家族に財産管理を託す「家族信託」という契約が注目を浴びています。
弁護士や、司法書士、税理士などが手続きあたっており、
・契約書づくりの費用(信託財策の1%程度)
・公正証書の作成費用(数万円程度)
・不動産の名義変更などがある場合、必要に応じて不動産登記にかかる費用(登録免許税、司法書士報酬)
などが費用としてかかります。
けれど、これは、託せる「家族」がいる場合に活用できる仕組み。
家族以外の個人に信託する「個人信託」もありますが、基本的には無報酬で財産管理を託すため、成り手を探すことが難しい現状があります。